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働き盛りを過ぎる頃から、「このままで良いのだろうか?」「何かを変えるなら今のうちだ」といった心の声が聞こえてきて、気持ちが落ち着かなくなったりするものである。そこでどう動くかで、その後の人生の展開が大きく違ってくる。先人達に学び、そうしたときにやるべきこととは。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

自分の生き方に疑問が湧き、気持ちが揺れ動く

「四十にして惑わず」などと言うが、長寿化が進み、今は40歳で老成する時代ではない。実際、40代から50代にかけては迷いの多い時期である。つぎのような放浪の俳人山頭火の句や語録に心を揺さぶられる人が多いのではないだろうか。

「何か足らないものがある落葉する」
「さて、どちらへ行かう風がふく」
「どうしようもないわたしが歩いてゐる」
「こころむなしくあらなみのよせてはかへし」
「わたしと生れたことが秋ふかうなるわたし」
「吹きぬける秋風の吹きぬけるままに」
「われをしみじみ風が出て来て考へさせる」(以上、『山頭火全句集』春陽堂書店)

「四十にして惑わず、五十にして惑う、老来ますます惑うて、悩みいよいよふかし」
「こういう安易な、英語でいうeasy-goingな生き方は百年が一年にも値しない」(以上、種田山頭火、村上護編『山頭火のぐうたら日記』春陽堂書店)

 これらの句には、まさに人生の秋である40代後半から50代に陥りがちな思いが凝縮されている。