北朝鮮威圧策を諦め中国を批判するトランプ政権の迷走Photo:U.S.Navy

 米国は北朝鮮の核・ミサイル問題で軍事的圧力を掛けるのを諦めた様子だ。

 朝鮮半島沖に出していた空母2隻は6月6日、日本海を去り、近日中に西太平洋に残る空母は横須賀を母港とする「ロナルド・レーガン」1隻という平常の状態に戻る。

 米国防長官ジェームズ・マティス海兵大将は、国防総省の記者会見やCBSテレビの番組で「軍事的解決に突き進めば信じられない規模の悲劇的結果となる」と力説し「外交的手段による解決のため、国連、中国、日本、韓国と協力して行く」と述べている。国連安保理は北朝鮮への経済制裁強化を決議したが、ほとんど従来の制裁と変わらない内容で、日本に対する核・ミサイルの脅威は高まる一方だ。

空母3隻が1隻の体制に
原潜も攻撃能力低い

 核・弾道ミサイル開発を進める北朝鮮に対して、米海軍は4月8日、シンガポールからオーストラリア訪問に向かっていた空母「カール・ヴィンソン」を反転させ、北西太平洋に向かわせる、と発表。同艦は4月29日に日本海に入った。昨年11月から横須賀で定期修理に入っていた空母「ロナルド・レーガン」は5月7日修理を終え、試験航海の後16日出港、日本海に向かった。さらにワシントン州キトサップ港から6月1日に空母「ニミッツ」が出港、日本のメディアでは「空母3隻で北朝鮮に圧力を掛ける」とも報じられた。

 だが「カール・ヴィンソン」はすでに約6ヵ月の間、海外に展開しているため、乗組員の拘禁性ノイローゼを防ぐために、カリフォルニア州サンディエゴの母港に戻ることが必要だ。一方で「ニミッツ」はアラビア海など中東方面に展開する予定だから、西太平洋は通過するだけで、仮に日本海に入っても顔を出す程度。残るのは横須賀を母港とする「ロナルド・レーガン」1隻になり、普段の配置に戻ることになる。